古都 (新潮文庫)

古都 (新潮文庫)

生き別れの美人双子が再会するはなし。
美的感覚には個人差があるけれど、万人が美しいと感じるものはバランスがとれているものなのだなとおもいました。杉の木のすっと伸びた美しさや、帯や反物のなめらかさ、鞍馬寺の竹伐り、二人ひと組で声をそろえる稚児、7度参りのきりのよさ。美人もふたりいるからバランスが良い。古都をひきたてるための美人双子でした。

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

ある朝変身してしまった男とその家族の話。
変身した姿は一体何の象徴なのか。家族が信じてきたものは働いてお金を得てくれる勤勉でしっかり者の兄の姿で、姿を変えてしまってからは徐々に興味も薄れていく。(自分にとって)良い部分が隠れると悪い部分が強調される。相手をまるごと理解する難しさを感じた。良い部分あっての悪い部分だし、逆もしかり。
主人公が変身を抵抗なく受け入れているのが不思議でした。発狂したり、抵抗したりせず、ただただ死んでいくのは入社したばかりの新入社員を連想した。