壁 (新潮文庫)

壁 (新潮文庫)

考えようとすれば考えようとするほど、ぼくの頭は考えというようなことから離れていくようでした。
ぼくはただ頭の中の、ゴミ箱の中をはいまわる虫のざわめきのような音に、力なく耳傾けているだけでした。
恐ろしい虚脱の状態でした。