ホリー・ガーデン (新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

もう何度読んだかわからない。新刊で購入したのにぼろぼろだ。
何度か書いたどくしょめもに「すごくいいのだが中野くんがイタダケナイ」というようなことを書いたと思う(おそらくかなり最初の方に)のだが、登場人物一人が自分の好みに合わないからと言って、その本全体の高感度を下げることはとても浅はかだなと思った。自分にとって完全な登場人物がそろっていて、完全な物語を繰り広げる小説だなんて、まったく面白くないじゃないか。この小説の魅力は登場人物が自分の不完全さを完全だと思いこんでいることだな。排他的というか。不完全な登場人物がそろって彼らにとっての完全な生活を繰り返すところが魅力だと思います。あと食事の描写がうまいところ。ウォッカをコップに注ぐ描写がとてもうまい。

あんなにしつこくアプローチする中野くんを生殺しにするだなんて、果歩はなんて冷酷なやつだと思います。全然他人に興味ないんだろうなー。以前は自分が静江ににているから、果歩をみていていらいらしてしまうのかと思っていた。しかし自分に似ているから、果歩をみて不安になってしまうのだろうな。

うーんでもやっぱり中野くんはあまり得意じゃないなあ…。