蛙男 (幻冬舎文庫)

蛙男 (幻冬舎文庫)

日に日にかえるの姿になっていく、しかもそれが自分にしか見えないということになってしまった主人公。自分も同じ境遇にあり、なおかつ同じ苦しみを抱えた人の変身中の姿が見えるヒロイン。「本質」を知ることを蛙の姿に変わってゆくことで分かりやすくしている。蛙にかわってしまう苦悩は自分にしかわからないし(作中ではヒロイン以外には見えないという設定)人が聞いてもくだらないことです。自分にとっては重大なことだから、人に話すことをおそれ、ひとり抱えてしまうものだが、案外同じ悩みを抱えている人はいるし、人に話すことが解決につながる一番単純なやり方なのだ。苦悩を共有できる人に打ち明けるのがこの場合もっとも重要ではあるのだが。