■
- 作者: 庄司薫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1978/11/17
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
しょうじさんと猫の距離感は絶妙だ。離れて暮らす仲の良い兄弟みたい。ひとつも自慢していないのに、自分のそばに猫を一匹置いておきたくなるかんじ!
かわいがられていることに自信のある動物は、犬でも猫でもそのすべてに共通する或る雰囲気があるようだ。
なんていうのだろう。どこか威張ったような感じ、いつもどこか文句ありそうなわがままな感じ。
(中略)
一方の飼い主の方だが、動物が可愛くなってくると、特にその後ろ姿が気に入るようになる、というのがぼくの犬を飼って以来の持論だ。
とりわけその後頭部のあたり。犬でも猫でもその両耳のうしろから首筋に向かう丸いふくらみのあたりを眺めていると、僕の中のもの想いのすべてが、急に時間とのつながりを失って柔らかくたゆとうような気がする。