女の一生 (新潮文庫)

女の一生 (新潮文庫)

やはり一生のうちに与えられる幸福というのは万人平等であるらしい。努力しないとそれ以上の幸福は得られないみたい。努力しよう努力を。才能は根気にしかすぎないのです。精進!
主人公は物質的にも精神的にもなにもかも失う不幸な主人公なのだが、この人が笑うと場面がぱっと明るくなるのがわかる。いるだけでその場の空気を変えてしまうような人だ。何もかも失って最後に「世の中って、ねえ、人が思うほどいいものでも悪いものでもありませんね」と言える鈍感さと執念がすごい。そういうやつほど生きながらえるんでしょうな。
へこむ、という言葉があります。これは期待を抱いていたことが期待外れに終わったり、自分が自信を持っていることに対して自信を喪失するような出来事が起こったときに使われる言葉です。「女の一生」は世間知らずで惜しげもなく愛されて育った主人公が思い描いた未来があったからこそ「へこんで」みえただけに過ぎないようにも思えます。主人公はやりすぎなくらいへこまされていますが、人生ってきっとそんなものなのだともーぱっさんは書きたかったのかなと思います。