放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)

放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)

自分が高校生の時にシャネルの口紅を一本だけもつとか、耳も聞こえない口もきけないおとこのこと関係を持つ世界にあこがれたことがあったかなあと考える。群れない女の子が自分を夜遊びに連れて行ってくれるかなんて考えたことあったかなあと考える。その時は今を生きることで精いっぱいで、自分の平凡なコミュニティ以外のものに配慮することだなんて及ばなかった。ジントニックを飲みながら語る登場人物たちも、それ以外なにも見えないのでしょう。平凡なわたしと群れない女の子とどちらが正しいとかかっこいいとかは問題じゃなくて、ただどちらもずいぶんもったいない時間の過ごし方をしていたんだなあと思います。