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- 作者: 柳田邦男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/04
- メディア: 文庫
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文章がめちゃめちゃ読みやすい。仕事のことに関するものとか家族のこととか、文字通り赤裸々につづられているのだけれど、やはりわたしが一番すきなのは、柳田氏の身の回りのお気に入りを紹介しているエッセイ。あたりまえにわたしは柳田氏と面識はないのだけど、その人が気に入って大切にしているものについての文章は本人の人柄を連想させるし、それから芋づるしきに人物の姿を思い浮かべることができて、まるで人物と対面しているかのような気持ちになるのである。
このところ、国内に海外でも奇怪な事件が多いが、私たちはそれらの情報ほとんどすべてを、マス・メディアから得ている。残念ながら、「自分自身の眼で見ること」は、ほとんどできない。しかし、マス・メディアの情報をまるごと信じ込まない警戒心を持つことくらいはできるはずである。真実はそのうちにだんだんわかってくるさ、といったゆとりを持つくらいが良い。(AJ・88年4月号「なあーんだ」の真理より)