女生徒 (角川文庫)

女生徒 (角川文庫)

女の人が告白する形の短編集。先日読んだ「きりぎりす」「千代女」やなんかも入ってました。
表題作は一人の女生徒がもやもや考え事しながら一日を過ごすよ、という流れで、ええと、わたしもこんな感じにもやもやしてまま一日を過ごすので、すごく分かり合える部分があったー。
と言った上での一文。

自分から、本を読むということを取ってしまったら、この経験のないわたしは、泣きべそをかくことだろう。それほど私は、本に書かれてある事に頼っている。
ひとつの本を読んでは、ぱっとその本に夢中になり、信頼し、同化し、共鳴し、それに生活をくっつけてみるのだ。また、他の本を読むと、たちまちクルッとかわって、すましている。人の物を盗んで来て自分のものにちゃんと作り直す才能は、そのずるさは、これは私の唯一の特技だ。(P23)

つまり自分を主人公に投影するのならば、わたしは下着に薔薇の刺繍をするくらいにしか自分を解放できないのだ。