もうおうちへかえりましょう

もうおうちへかえりましょう

村上春樹は本当に罪深い存在だと思う。当時は全く自覚はなかったが、「なんでこんなにも素敵に上手書けるんだ」という感慨の核にあったものを考えてみるなら、それは作者、読者、登場人物といった、いわば作品関係者全員の自意識を守り、誰も傷つけず、みんなが気持ちよくなるという離れ業に対する驚愕に他ならない。

わたしも村上春樹と出会い、快適な世界を知って、どんどん臆病になっていった。それは素敵でいることに固執してしまっていた。大して素敵なやつでもないくせにみっともないことだから近年は治したいと思っている。

そんな素敵な村上さんに読者が投げかけた質問集。質疑応答を重ねて浮かび上がる村上春樹村上春樹的だったし素敵だった。